- Prj.JARVIS:ユーザーに直接仕える個人AI秘書であり、システム全体の最上位司令塔。 音声・チャットを窓口に、予定、タスク、個人記憶、ニュース、投資、PC操作などを統括。
- MiTiR-Base:専門エージェント、サービス、アプリを管理・実行する技術基盤。 JARVISが依頼を判断し、MiTiR-Baseが調査・分析・設計計算などの専門業務を実行。
- 両者は別リポジトリとし、REST API、将来的にはMCP/A2Aで接続。
- JARVISはWindowsノートPC(32GB)、MiTiR-BaseはMac mini M4 Pro(48GB)で稼働。 両端末はTailscaleで安全に接続し、MiTiR-Baseをインターネットへ直接公開しない。
- JARVISは独自の薄いコアとし、OpenAI、Claude、Gemini、Ollamaなどを交換可能。
- 個人記憶にはSQLite・Markdown・Obsidian、PC操作にはPowerShell・Playwrightなどを利用。
- 最初のMVPは、JARVISからMiTiRの状態確認、タスク実行、ユーザー承認、結果・履歴保存まで。 JARVIS=あなたとの窓口・最上位司令塔MiTiR-Base=専門家と実働部隊を束ねる業務実行基盤

| レイヤー | 位置づけ |
|---|---|
| あなた | 最上位の意思決定者 |
| Prj.JARVIS | あなたに直接仕える個人秘書・全体司令塔 |
| MiTiR-Base | JARVISから仕事を受ける専門組織の管理基盤 |
| Agents / Services / Apps | 実際に調査・分析・計算する実働部隊 |
| LLM | JARVISやMiTiRが必要に応じて利用する「思考エンジン」 |
はじめに
映画『アイアンマン』に登場するJ.A.R.V.I.S.のように、音声で人と対話し、予定や情報を整理し、必要に応じて複数のツールや専門AIへ仕事を割り振る――。Prj.JARVISは、この「統合AI秘書・司令塔」を個人環境で実現するプロジェクトである。
ただし、目指すものは単なる音声チャットボットではない。Windows PC、Mac mini、クラウドLLM、ローカルLLM、個人ナレッジ、専門エージェント、既存アプリケーションを一つの窓口から利用できる、長期運用可能な個人AI基盤を構築する。
本稿では、公開されている各種「JARVIS」の調査結果を踏まえ、Prj.JARVISの基本方針、MiTiR-Baseとの役割分担、採用するハードウェア構成、通信方式、そして最初の開発ロードマップを整理する。
世の中の「JARVIS」は同じシステムではない
現在、YouTubeやInstagramには「Hey Jarvis」と呼びかけて、予定確認、メール処理、PC操作、Web調査などを実行する多数のデモが公開されている。しかし、これらがすべて同じフレームワークから派生しているわけではない。
「JARVIS」は特定製品の名前というより、「音声で操作する高度な個人AI秘書」を表す通称として使われている。実装方法もさまざまである。
- Brahma AI:Pythonバックエンド、Electronのデスクトップ画面、Gemini APIなどを組み合わせた独自実装
- Claude/Claude Code型:Claudeを中心にGmail、Google Docs、GitHub、PC操作などを接続した個人開発
- n8n型:ワークフロー自動化、LLM、音声サービス、各種クラウドサービスを接続したノーコード/ローコード構成
- 独自Python型:音声認識、LLM API、PowerShellやブラウザ操作を個別に統合したもの
- Stanford OpenJarvis:ローカルファーストの個人AIエージェントを構築する研究・開発基盤
Stanford系のOpenJarvisは、モデル、推論エンジン、エージェント、ツールとメモリ、学習という五つのレイヤーを統合するオープンソース基盤である。Windows用デスクトップアプリも提供され、Ollamaなどのローカル推論を重視している。公式導入ガイド
一方、Prj.JARVISではクラウドLLM APIも積極的に利用する。したがってOpenJarvisを全面採用するより、参考実装・将来の交換可能な実行基盤の一つとして評価する方が適している。
Prj.JARVISの基本方針
Prj.JARVISでは、すべてをゼロから作り直すことも、一つの既存フレームワークに全面依存することもしない。
採用するのは、独自の薄いJARVISコアを持ち、LLM、音声、MCP、記憶、PC操作などには既存技術を組み合わせる方式である。
JARVISコアが担当するのは次の機能である。
- 音声・チャットによるユーザー窓口
- ユーザーの意図判定とタスクの振り分け
- 個人設定、会話履歴、長期記憶の管理
- OpenAI、Claude、Gemini、Ollamaなどのモデル切り替え
- Windows上のツールやアプリケーション操作
- 外部処理を実行する前のユーザー承認
- MiTiR-Baseへの専門タスク依頼
- 実行状態、結果、エラー、履歴の提示
これにより、特定のLLMやエージェントフレームワークが変更されても、JARVIS全体を作り直さずに済む。
MiTiR-Baseとは分離して接続する
Prj.JARVISとMiTiR-Baseは、別リポジトリ、別プロセス、別責務で開発する。
| システム | 役割 |
|---|---|
| Prj.JARVIS | ユーザーと対話する個人AI秘書・最上位司令塔 |
| MiTiR-Base | エージェント、サービス、個別アプリを管理・実行する技術基盤 |
| 個別アプリ | ニュース収集、投資分析、タービン設計などを実行する専門機能 |
JARVISは「何をしたいか」を理解し、MiTiR-Baseは「どの専門機能で、どのように実行するか」を担当する。
たとえば「今日のAIニュースをまとめて」という指示を受けた場合、JARVISが要求を構造化し、MiTiR-Baseに登録されたニュース収集サービスへ依頼する。「この条件でタービン性能を計算して」という指示なら、MiTiR-Baseが設計エージェントと解析サービスを選択して実行する。
両者を分離することで、個人の予定・メール・生活情報を扱うJARVISと、研究・設計・アプリ運用を担うMiTiR-Baseを独立して発展させられる。将来、MiTiR-Baseを技術コンサルティングや社内用途へ展開する場合にも、個人秘書機能を持ち込まずに済む。
採用する分散構成
Prj.JARVISはWindowsノートPC、MiTiR-BaseはMac miniで稼働させる。
| 項目 | WindowsノートPC | Mac mini M4 Pro |
| メモリ | 32GB | 48GB |
| 稼働システム | Prj.JARVIS | MiTiR-Base |
| 主な役割 | 音声・チャット、Windows操作、承認、個人記憶 | 専門エージェント、サービス、アプリ、バックグラウンド処理 |
| LLM | 主にクラウドAPI | OllamaのローカルLLM+クラウドAPI |
| 稼働形態 | 使用時に起動 | 原則として常時稼働 |
| 接続 | Tailscaleクライアント | Tailscale経由でサービスを提供 |
概念構成は次のようになる。
ユーザー
↓ 音声・チャット
WindowsノートPC:Prj.JARVIS
↓ 構造化されたタスク依頼
Tailscaleプライベートネットワーク
↓
Mac mini:MiTiR-Base
↓
Agents / Services / Apps / Ollama
WindowsノートPCは「JARVISの顔と手」、Mac miniは「専門組織と計算センター」である。
Tailscaleによる安全なリモート接続
Mac mini上でMiTiR-BaseのAPIサーバーを起動し、WindowsのJARVISからTailscale経由で呼び出す。MiTiR-BaseのAPIを一般のインターネットへ直接公開せず、許可された端末だけが参加するプライベートネットワーク内で通信させる。
MagicDNSを利用すれば、変化し得るIPアドレスではなく、次のような端末名でアクセスできる。
http://ohidemac-mini:8000
初期段階ではREST APIを採用し、将来的に必要となった時点でMCPやA2Aを追加する。なお、Prj.JARVISからMiTiR-BaseのPythonコードを直接importしない。API契約を境界にすることで、双方を独立して変更・再起動・配置換えできるようにする。
LLMとGPUに対する考え方
JARVISのLLMは、必ずしもローカルで動かす必要はない。高度な推論はOpenAI、Claude、GeminiなどのAPIに任せられるため、WindowsノートPCに高性能GPUは必須ではない。
Windows側で必要なのは、音声受付、API通信、タスク管理、メモリ保存、ツール実行、画面表示などである。32GBのメモリがあれば、JARVISの司令塔として十分な余裕がある。
一方、Mac miniにはすでにOllamaとローカルLLMを配置できる。機密性を重視する処理、API障害時の代替、定型処理、クラウド費用を抑えたい処理はMac miniへ振り分ける。つまり、Prj.JARVIS全体はクラウドとローカルを使い分けるハイブリッド構成となる。
最初のAPI契約
JARVISからMiTiR-Baseへ送る依頼は、最初から共通形式にする。
{
"request_id": "uuid",
"source": "prj-javis",
"task": "daily_ai_news",
"parameters": {
"period_hours": 12,
"max_items": 10
},
"approval": "approved"
}
MiTiR-Baseは、受付状態、実行状態、結果、生成ファイル、エラー情報を共通形式で返す。時間のかかる処理については、同期的に待たせるのではなく、タスクIDを返してJARVISが進捗を確認する方式へ発展させる。
第1段階のMVP
最初から音声、記憶、PC操作、複数エージェントをすべて実装すると、問題の切り分けが難しくなる。そこで第1段階では、分散構成の成立を確認する。
- Mac miniでMiTiR-Baseの
/healthAPIを起動する - WindowsからTailscale経由で
/healthへアクセスする - JAVISに「MiTiRの状態を確認して」と指示する
- JAVISがAPIを呼び出し、
healthyを回答する - 通信結果と実行履歴を保存する
次の段階で、「Hey JARVIS」という音声起動、今日の予定とタスクの回答、ニュース収集サービスの実行、結果のObsidian保存を追加する。
今後のロードマップ
Phase 1:接続確認
- WindowsとMac miniのTailscale接続
- MiTiR-BaseのヘルスチェックAPI
- JARVISからの疎通確認
- タイムアウト、再試行、エラー表示
Phase 2:会話型MVP
- テキストチャット画面
- クラウドLLM API接続
- 基本的な意図分類
- MiTiRタスクの呼び出し
- 実行履歴のSQLite保存
Phase 3:JARVISらしい操作体験
- 「Hey JARVIS」による起動
- 音声認識と音声合成
- 今日の予定、タスク、ニュースの統合報告
- Obsidianとの連携
- 承認が必要な操作の確認画面
Phase 4:専門業務の統合
- 投資・不動産分析
- AI・経済・地政学ニュース
- タービン設計・解析
- コーディングとCodex連携
- 専門エージェント間の委譲
Phase 5:複数端末化
- スマートフォンを追加のJARVIS窓口にする
- 外出先からの音声指示
- 通知・承認・処理結果の受信
- 端末別の権限管理
まとめ
Prj.JARVISは、既存の「JARVIS」という名前のアプリをコピーするプロジェクトではない。複数のLLM、ツール、個人ナレッジ、専門エージェントを統合し、ユーザーとの唯一の窓口として機能する独自の個人AI秘書を構築する試みである。
設計上の中核は、次の三点に集約される。
- JARVISは独自の薄いコアとし、既存技術を交換可能な部品として利用する
- Prj.JARVISとMiTiR-Baseは分離し、APIで接続する
- WindowsノートPCを対話・操作端末、Mac miniを常時稼働する専門処理基盤とする
この構成なら、小さなMVPから始めながら、ニュース、投資、知識管理、開発、そしてタービン設計まで段階的に統合できる。Prj.JARVISは単独のアプリではなく、今後増えていくAIエージェントやサービスを、人間の意図に沿って束ねる最上位の司令塔となる。
付録
提示された以下の「JARVIS」は全部Stanford OpenJarvisではありません。むしろ、ほとんどが制作者それぞれの独自実装です。「JARVIS」は製品名というより、いまや「音声で動く個人AI秘書」の通称になっています。
| リンク | 正体・ベース | Stanford版との関係 |
|---|---|---|
| YouTube:OW5PJVpH0Ig | Brahma AI。Pythonバックエンド+Electron画面+Gemini APIでPCを操作する独自実装 | 別物 |
| YouTube:dCKBxcYGkoE | Claude/Claude Codeを中心に、Gmail・Google Docs・Canva・GitHubなどをつないだ独自JARVIS | 別物 |
| Instagram:DYw6w3RxYJ0 | LLM・エージェント・ツール・通信チャネルを束ねる「中央ハブ」として作者が開発中。参加待ちリスト形式 | Stanford版とは確認できず、独自プロジェクトの可能性が高い |
| Instagram:DY4o8dluXdK | 公開検索では技術情報を十分取得できない | Stanford版だと示す情報なし |
| Instagram:DbTJRPnORTM | OpenJarvis公開前の古い投稿と考えられる | 少なくとも現在のStanford OpenJarvis由来ではない |
Brahma AIは「PythonとElectronでゼロから構築した」と説明され、別動画ではGemini APIを使うWindows向けオープンソースAIとして紹介されています。Brahma AIの動画情報
Claude版も、Claude Codeを使ってMac操作、個人メモ、Web調査などを組み上げた個人開発です。Claude版JARVIS動画
つまり共通するのは名前と完成イメージであって、コードやフレームワークは共通ではありません。
どれも中身はだいたい同じ構造
違うのは、それぞれがこの部品を何で作っているかです。
- LLM:Claude、Gemini、OpenAI、ローカルLLM
- 司令塔:独自Python、LangGraph、Claude Code、OpenJarvisなど
- 音声:Whisper、LiveKit、ElevenLabsなど
- PC操作:PowerShell、Playwright、PyAutoGUI、専用MCP
- 記憶:Markdown、SQLite、ベクトルDB
- 画面:Electron、Web UI、Tauri
OpenJarvisを土台にすべきか
OpenJarvisの強みは次の部分です。
- OllamaなどローカルLLMとの統合
- ハードウェア自動判定
- エージェント、MCP、メモリの統合
- ローカル利用履歴による改善
- 電力・速度・コストの評価
- Windows用デスクトップアプリ
Windows版も提供されていますが、バックエンド、Ollama、Python、Rust、フロントエンドを含む比較的大きな仕組みです。OpenJarvis導入ガイド
一方で、今回のPrj.JAVISはクラウドAPIを積極的に使い、Windows、Mac mini、既存アプリ、Codex、Obsidian、ニュース収集、設計ツールなどを束ねる構想です。そのため、OpenJarvisの最大の特徴である「完全ローカル・省電力評価」は、中心的な要件ではありません。
私の推奨方針
完全なゼロ開発でも、OpenJarvis全面依存でもなく、「自分の薄いJAVISコアを作り、既存部品を組み込む」のが最適です。
具体的には、
| 部分 | 採用候補 |
|---|---|
| 自分専用の司令塔 | Python+FastAPI |
| エージェント制御 | OpenAI Agents SDKまたはLangGraph |
| LLM切替 | OpenAI/Claude/Gemini/Mac mini Ollama |
| ツール接続 | MCP |
| 長期記憶 | SQLite+Markdown/Obsidian |
| 定期実行 | APSchedulerまたはWindowsタスク |
| 音声認識 | Whisper APIまたはローカルWhisper |
| 音声合成 | OpenAI音声API、ElevenLabs等 |
| Windows操作 | PowerShell+Playwright、必要箇所のみPyAutoGUI |
| 操作画面 | 最初はWeb UI、後でデスクトップ化 |
この方式なら、OpenJarvisも後から「ローカル実行エンジンの一つ」として試せます。モデルもOpenJarvisもClaudeも交換可能です。


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