AgentChatの基本構造と主要コンポーネント
AutoGen AgentChatは、マルチエージェント対話アプリケーション構築のための高水準APIですmicrosoft.github.io。内部では低水準のautogen-coreに基づいており、複数のエージェント(Agents)間の会話を抽象化して扱いやすくしていますmicrosoft.github.io。AgentChatではあらかじめ定義されたエージェントの挙動やマルチエージェントのデザインパターン(チーム構成)が提供されており、最小のコードで高度なエージェント連携を実現できますmicrosoft.github.io。
主要な構成要素は次のとおりです:
- エージェント (Agent): 対話に参加する個々の知的エンティティです。典型的にはLLM(大規模言語モデル)やツール実行機能を備え、メッセージを入力として応答を生成します。全てのエージェントは
name(一意名称)やdescription(説明)、そして**run()メソッドを共有しますmicrosoft.github.io。run()にタスク(文字列またはメッセージ一覧)を与えると、そのエージェントがタスクを遂行し、TaskResultオブジェクトを返しますmicrosoft.github.io。TaskResultにはエージェントの「思考過程」や最終応答がメッセージ列として格納されますmicrosoft.github.io。エージェントはステートフル(状態保持)**であり、run()を呼ぶたびに内部の対話履歴にメッセージが追加されますmicrosoft.github.io。 - メッセージ (Message): エージェント間でやり取りされるメッセージのデータ構造です。ユーザからの入力やエージェントの応答、ツール呼び出しイベントなど、様々な種類のメッセージ型が定義されていますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。メッセージには送信元(
source)、内容(content)、種別(type)などが含まれ、対話履歴としてエージェントに蓄積されます。 - モデルクライアント (Model Client): LLMへのインタフェースを提供するクラスです。例えばOpenAIのChat Completion APIを使う場合、
OpenAIChatCompletionClientを利用してモデルへのプロンプト送信や結果取得を行いますmicrosoft.github.io。エージェントは内部でモデルクライアントを用いてテキスト生成を行います。 - ツール (Tool): 外部機能を呼び出すための拡張手段です。AgentChatではエージェントに関数(Python関数やAPI呼び出し)を「ツール」として登録できますmicrosoft.github.io。LLMはツールの使用方法(引数や戻り値のフォーマット)をあらかじめ教えられることで、必要に応じて関数呼び出しメッセージを生成し、ツール実行結果を取得できますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。例えばウェブ検索や計算、コード実行などの機能をツールとして組み込み、エージェントがそれを呼び出してタスクを解決できます。
- チーム (Team): 複数エージェントをまとめ、協調動作させるためのグループ構成です。チームは共通の目的のもとにエージェント同士が会話し合う枠組みで、AgentChatには事前定義されたチーム構成(デザインパターン)が用意されていますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。典型的なチームは**グループチャット (Group Chat)**形式で、全エージェントが同じコンテキストを共有し順次発言します。他にも発言者選択型やワークフロー型など、タスクに応じて適したパターンを選べます(詳細は後述)microsoft.github.io。
- 終了条件 (Termination Condition): チーム実行を停止するための条件設定です。例えば特定のキーワードが応答に含まれたら終了する、一定ラウンド経過で終了する、外部からキャンセルする等の条件を指定できますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。終了条件が満たされるとチーム対話は停止し、これまでのメッセージ履歴を含む結果が返されますmicrosoft.github.io。
- UIとストリーミング: 対話の進行状況を逐次表示したい場合、
Consoleクラスを使ってrun_stream()の結果をストリーム表示できますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。これによりエージェントがメッセージを生成するたびにリアルタイムで内容を確認できます。ストリーミング出力はデバッグやデモ用途で有用です。
以上がAgentChatの基盤となる構成です。開発の流れとしては、モデルクライアントの準備 → エージェントの定義 → (必要に応じてチームの構成)→ タスクの実行という手順になります。まず単一エージェントで試行し、タスクが高度化して一つのエージェントでは手に負えなくなった場合に、複数エージェントのチームへ移行することが推奨されていますmicrosoft.github.io。シンプルなタスクは単一エージェント+必要なツールで構築し、複雑なタスクや専門性の多様なタスクに対してチーム構成を検討するとよいでしょうmicrosoft.github.io。
代表的なエージェントの役割と使い方
AgentChatにはすぐに使えるプリセットエージェントが複数用意されていますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。ここでは代表的なエージェントクラスであるAssistantAgent、UserProxyAgent、およびマルチエージェント用のチームクラス(グループチャット)について、その役割と使用方法を解説します。
- AssistantAgent – 最も基本的なアシスタントエージェントです。内部にLLMを持ち、必要に応じてツールを呼び出す汎用エージェントとして機能しますmicrosoft.github.io。言わば「何でも屋」のエージェントで、プロトタイピングや学習目的に適していますmicrosoft.github.io。例えばOpenAI GPT-4モデルを用いた
AssistantAgentを作成するコードは以下のようになります(OpenAIChatCompletionClientはOpenAI APIをラップしたモデルクライアントです)microsoft.github.iomicrosoft.github.io: pythonCopyEditfrom autogen_agentchat.agents import AssistantAgent from autogen_ext.models.openai import OpenAIChatCompletionClient # OpenAI GPT-4モデルのクライアントを準備 model_client = OpenAIChatCompletionClient(model="gpt-4o-2024-08-06") # AssistantAgentの生成(ツールやシステムメッセージを指定可能) agent = AssistantAgent( name="assistant", model_client=model_client, system_message="あなたは有能なAIアシスタントです。", tools=[] # 必要に応じてツール関数をリストで渡す )上記のAssistantAgentはシステムメッセージで役割や口調を指示できます。例えば「有能なAIアシスタントとして振る舞うこと」と指示することで、その方針に沿った回答を生成します。また、toolsパラメータで関数を渡せばツール呼び出しが可能なエージェントになりますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io(例えば天気情報を取得する関数を渡せば、エージェントは会話中にその関数を呼び出せます)。なおAssistantAgentは非常に汎用的に作られているため、プロトタイプ開発には便利ですが、大規模なシステムでは用途に合わせたカスタムエージェントの実装も検討すべきですmicrosoft.github.io。AutoGenでは独自のエージェントクラスを作成するためのガイドも提供されています。 - UserProxyAgent – ユーザー代理エージェントと位置付けられます。これは人間ユーザーからのフィードバックや入力を、エージェントとしてチーム対話に組み込むための特別なエージェントですmicrosoft.github.io。
UserProxyAgentをチーム内に含めると、チーム実行中に他のエージェントがユーザーに質問したり承認を求めたりするタイミングで、この代理エージェントが呼び出されますmicrosoft.github.io。呼び出されたUserProxyAgentはバックエンドで実際のユーザー入力(例えばコンソールのinput()関数やGUIからの入力)を受け取り、それをそのまま回答メッセージとしてチームに返す役割を果たしますmicrosoft.github.io。 図は、チーム実行中にUserProxyAgentが呼び出されユーザーからのフィードバックを受け取るフローを示していますmicrosoft.github.io。太い矢印が制御の流れを示しており、ユーザー代理エージェントが呼ばれると一時的に制御がアプリケーション/ユーザー側に移り、ユーザー入力後に再びチームに戻って続行しますmicrosoft.github.io。このように人間を会話ループに組み込むことで、途中確認や承認、追加指示を与えることができます。ただし注意点として、UserProxyAgentへの入力待ちの間はチーム全体の進行がブロックされ停止しますmicrosoft.github.io。長時間ユーザーの応答を待つような使い方はチームを不安定な状態にする可能性があるため、即時のフィードバックが必要な短いやり取りに限定することが推奨されていますmicrosoft.github.io。例えば「このプランを承認しますか?」とユーザーにYes/Noを聞く場面などで活用するとよいでしょう。 - グループチャット(マルチエージェントチーム) – 複数のエージェントがチームを組んで行う対話です。AgentChatでは典型的なグループチャット用にいくつかのチームクラスが用意されていますmicrosoft.github.io。代表的なものを挙げると:
RoundRobinGroupChat:全エージェントが同一のコンテキスト(対話履歴)を共有し、ラウンドロビン方式で順番に発言していくチーム構成ですmicrosoft.github.io。各エージェントは自分の番になると前までのやり取りを踏まえて応答を生成し、そのメッセージを全員と共有しますmicrosoft.github.io。シンプルながら効果的な方式で、後述の例のようにアイデア出しとレビューの反復などによく用いられます。SelectorGroupChat:各発言ごとに次に発言すべきエージェントを選択するチームですmicrosoft.github.io。内部ではChatGPTのようなモデルを使ったセレクターが対話内容をもとに次の発言者を決定しますmicrosoft.github.io。動的な役割交代や発言管理が必要なケースに適しています。MagenticOneGroupChat:さまざまな領域のオープンエンドなタスクを解決するための汎用マルチエージェントシステムですmicrosoft.github.io。複数のウェブ・ファイルベースのタスクを扱うエージェントを含み、総合的に問題解決を図ります(高度なユースケース向け)microsoft.github.io。Swarm:エージェント間で**役割の受け渡し(ハンドオフ)**を行いながら進行するチームですmicrosoft.github.io。特殊なメッセージHandoffMessageを使って制御を次のエージェントに引き継ぐ仕組みになっており、局所的な判断でエージェントが次の担当者を決めるような柔軟な協調が可能ですmicrosoft.github.io。
RoundRobinGroupChatを使った二人エージェントチームでは、以下のようにエージェントをリストで渡しチームを生成しますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io: pythonCopyEditfrom autogen_agentchat.teams import RoundRobinGroupChat from autogen_agentchat.conditions import TextMentionTermination # primary(主担当)とcritic(批評担当)の2エージェントチームを構成し、 # "APPROVE"という単語が出たら終了する設定 termination = TextMentionTermination("APPROVE") team = RoundRobinGroupChat([primary_agent, critic_agent], termination_condition=termination)上記teamオブジェクトに対してteam.run(task=...)または非同期のrun_stream()を呼ぶと、内部的にprimary_agentとcritic_agentが交互にメッセージを生成し続けます。RoundRobinGroupChatでは全員が常に最新の対話内容を共有しているため、コンテキストの一貫性が保たれますmicrosoft.github.io。終了条件が満たされるとループを抜け、これまで生成された全メッセージ(ユーザーの最初の依頼から各エージェントの発言履歴まで)を含むTaskResultが返りますmicrosoft.github.io。 ➡ 他のチームパターンについても、使い方はRoundRobinGroupChatと概ね類似しています。例えばSelectorGroupChatではチーム作成時にセレクター(次発言者を選ぶロジック)を指定できますし、GraphFlowやSwarmではあらかじめ定義したルールに従ってエージェント遷移が起こります。それぞれ高度な制御が可能ですが、中級者であればまずはラウンドロビンなど基本的な方式から試すと良いでしょう。
マルチエージェントによる設計業務・プロダクト開発の連携例
AgentChatを使うことで、自律的に協調するエージェントを活用した設計業務やプロダクト開発支援が可能です。ここではマルチエージェントが協働してアイデアを出し合い、批評・改善を経て成果をまとめる具体例を紹介します。
● 二人エージェントによる反復設計(リフレクションパターン)
設計タスクでは、まず案を考えそれをレビューして改善するというプロセスを繰り返すことが多くあります。このパターンは反復的ブレインストーミングと改善と捉えることができ、AgentChatでは一次エージェントと批評エージェントの2名でこれを実現できますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。一次エージェント(例えばprimary_agent)が設計案やドラフトを作成し、続いて批評エージェント(critic_agent)がそれに対するフィードバックや改良点を提示しますmicrosoft.github.io。批評の結果、満足いく品質に達していなければ、一次エージェントがフィードバックを反映して案を修正し、再度批評…というサイクルを繰り返しますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。このような二人チームの対話はRoundRobinGroupChatで簡潔に構築でき、終了条件として例えば批評エージェントが「APPROVE(承認)」と発言したらタスク完了とみなす設定にしますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。実際、AutoGenのチュートリアルでは詩の作成タスクに対してこの手法を適用し、批評に基づき詩を改良して最終的に承認を得る流れをデモンストレーションしていますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。同様に設計分野でも、AIが下書きを作り、別のAIがレビュー&改善提案を行うことで、より洗練された成果物(設計図や提案書など)を自律的に練り上げることが期待できます。
● 複数エージェントの専門知識融合によるプランニング
より複雑なプロダクト開発やデザイン業務では、複数の専門家エージェントを用意し、それぞれの視点から意見を出し合って最終案をまとめることができます。例えばAutoGenの「旅行プラン作成」例では、旅行プランナー, 現地情報アドバイザー, 言語コミュニケーション助言者, 統合サマリー役という4つのAssistantAgentをチームに組み合わせ、ユーザーの要望に沿った旅行日程を共同で作成していますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。具体的には、プランナーAgentが全体行程を草案し、現地Agentが地域ならではの活動を提案、言語Agentが現地での言語面の注意点をレビューし、最後にサマリーAgentが全ての情報を統合して完成プランを出力する、という流れですmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。このチームもRoundRobinGroupChatで実装されており、各エージェントが順番に発言しつつ共同作業していますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。最後にサマリー役が「TERMINATE」というキーワードを発して対話を終了し、完成した旅行プランがユーザーに提示されますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。プロダクト開発でも同様に、役割分担したエージェント(例: 要件定義役、設計アイデア役、技術アドバイザー役、最終統合役など)を設定し協調させることで、多角的に検討された成果物を自律的に得ることが可能です。各エージェントにはsystem_messageで役割に応じた人格や専門知識を与えておき、全員のコンテキストを共有することで一貫性のあるアウトプットが得られますmicrosoft.github.io。このような多人数のグループチャットでは、Termination条件や最終回答担当エージェントを決めておくことで、無限に議論が続かず適切なタイミングで結論をまとめることができますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。
● 段階的ワークフローによる設計プロセスの自動化
複雑な設計プロジェクトでは、一連の作業を明確な手順に沿って進めることがあります(例:リサーチ→設計案作成→レビュー→改善→最終決定)。そのようなケースには、AgentChatのGraphFlow機能を用いてワークフロー型のチームを構築する方法が有効です。GraphFlowではエージェント同士の実行順序や分岐・ループを有向グラフで定義できますmicrosoft.github.io。各エージェントをグラフのノードとし、「Aの後にBを実行」「Xの結果によって次はYかZに分岐」などの流れをプログラム的に指定できるため、決定論的かつ再現性のあるプロセスを実現できますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。例えば、「ライターAgentが文章を執筆し、その後レビュワーAgentが校正して終了」という2段シーケンスはGraphFlowでシンプルに表現できますmicrosoft.github.io。まずライターとレビュワーの2エージェントをノードとして追加し、その間に1本の矢印(エッジ)を設定しますmicrosoft.github.io。GraphFlowチームを実行するとライターがドラフトを作成し、続いてレビュワーがコメントを返してプロセス終了、という順序制御された対話が行われますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。GraphFlowは他にも並行実行や条件分岐、ループ処理(一定条件でサイクルを抜ける)にも対応しており、設計プロセスにおける反復試行や複数案の並行検討などもモデル化できますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。注意点として、GraphFlowは現時点で実験的機能であり将来変更の可能性がありますが、処理の流れを厳密に制御したい場面では非常に強力ですmicrosoft.github.io。
以上のように、AutoGen AgentChatを使えばマルチエージェント同士の会話を通じて設計業務を自律的に進行させることができます。必要に応じて途中で人間(ユーザー)がUserProxyAgent経由で介入し、方向修正や最終確認をすることも可能です。その結果、人間の創造力や判断力とAIの知的サポートを組み合わせた新しいデザインプロセスを構築できるでしょう。
インストール方法と最小限の使用例
AutoGen AgentChatのインストールはPython環境で以下のコマンドを実行するだけですmicrosoft.github.io(※Pythonバージョン3.10以上が必要microsoft.github.io):
bashCopyEditpip install -U autogen-agentchat
OpenAIやAzure OpenAIのモデルを使用する場合は、追加で拡張パッケージをインストールしますmicrosoft.github.io。例えばOpenAI APIを使うなら:
bashCopyEditpip install autogen-ext[openai]
を実行し、必要に応じて環境変数OPENAI_API_KEYにAPIキーを設定してください(Azure利用の場合はautogen-ext[azure]もありますmicrosoft.github.io)。
インストール後、最も簡単なエージェント利用例としてAssistantAgentを1体動かすコードを示します。以下のコードは、OpenAIの小型モデルを用いたエージェントを生成し、簡単な質問に答えさせるものです。
pythonCopyEditimport asyncio
from autogen_agentchat.agents import AssistantAgent
from autogen_ext.models.openai import OpenAIChatCompletionClient
# モデルクライアントを初期化(OpenAI GPT-4ベースのモデルを使用)
model_client = OpenAIChatCompletionClient(model="gpt-4.1-nano")
# AssistantAgentを作成
agent = AssistantAgent(
name="simple_agent",
model_client=model_client,
system_message="あなたは知識豊富なアシスタントです。"
)
# エージェントにタスクを与えて実行(非同期処理)
async def main():
result = await agent.run(task="世界で一番高い山は?")
# 最終的な応答メッセージを取得して表示
print(result.messages[-1].content)
asyncio.run(main())
上記のコードでは、まずAssistantAgentにOpenAIのモデルクライアントとシステムメッセージ(役割指示)を設定していますmicrosoft.github.io。続いてagent.run(task="...")でユーザーからの質問「世界で一番高い山は?」をエージェントに処理させ、結果のメッセージから最終回答を取り出して表示しています。run()メソッドはTaskResultを返し、そのmessages属性に対話履歴(最初のユーザーメッセージとエージェントの回答)が含まれるため、messages[-1].contentでエージェントの回答テキストを取得できますmicrosoft.github.io。
このように数行のコードでLLMエージェントとの対話を実現でき、ツールを渡せばさらに高度な質問にも対応可能です。より複雑な例として、以下は複数エージェントのチームを構成して実行する場合のコードスニペットです。
pythonCopyEditfrom autogen_agentchat.agents import AssistantAgent, UserProxyAgent
from autogen_agentchat.teams import RoundRobinGroupChat
from autogen_agentchat.conditions import TextMentionTermination
# モデルクライアントの用意(上と同様)
model_client = OpenAIChatCompletionClient(model="gpt-4.1-nano")
# エージェントの準備(アシスタントとユーザープロキシの二人)
assistant = AssistantAgent("assistant", model_client=model_client, system_message="あなたは創造的なアイデアを提案するエージェントです。")
user_proxy = UserProxyAgent("user_proxy", input_func=input) # コンソール入力をユーザー発言に使用
# チームの構築(ラウンドロビンでassistant→userの順に会話し、"OK"発言で終了)
termination = TextMentionTermination("OK")
team = RoundRobinGroupChat([assistant, user_proxy], termination_condition=termination)
# チームを実行(例えば設計アイデアを尋ねるタスク)
stream = team.run_stream(task="新しいスマートホームデバイスのアイデアを出してください。")
asyncio.run(Console(stream))
このコードでは、AssistantAgentがアイデアを提案し、UserProxyAgentがそれに対してユーザー(開発者)の意見を挟む形で対話が進みますmicrosoft.github.io。ユーザーが「OK」と入力すると終了条件を満たし対話が完了しますmicrosoft.github.io。実行には非同期処理が必要なので、コンソールに逐次出力するには上記のようにConsole(team.run_stream(...))を使用しますmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。
※この最小例ではコンソールでユーザー入力を直接受け付けていますが、実際にはWebアプリケーションやGUIと接続してUserProxyAgentにコールバック関数を渡すことで、対話型のUIを実装できますmicrosoft.github.io。AutoGenのGitHubにはFastAPIやStreamlitと連携したサンプルも公開されています。
ユースケース別: AgentChat機能構成の例
様々なユースケースにおいて、どのようにエージェントやチームを組み合わせればよいかを表形式で整理します。目的に応じた構成例と、利用するべき主要機能・クラスをまとめました。
| ユースケース | 構成例・使用する機能(AgentChat) |
|---|---|
| シンプルなQ&Aチャットボット (単一エージェント対話) | – エージェント: AssistantAgent を1体使用しユーザーの質問に回答(例: カスタマーサポートボット)– モデル: 必要に応じ高性能なLLM(GPT-4等)を選択 – ツール: ドメイン知識の検索APIや計算機能を関数ツールとして組み込み可能(例: ナレッジベース検索)microsoft.github.iomicrosoft.github.io – チーム: 不要(単体で動作) – 備考: まずは単一エージェントで十分か検討。シンプルな質問応答は適切なシステムメッセージとツール活用で対応microsoft.github.io |
| アイデア出し&反復改善 (二人エージェントのリフレクション) | – エージェント: AssistantAgent ×2体(例: 提案エージェント + 批評エージェント)– チーム: RoundRobinGroupChat(ラウンドロビン順に発言)microsoft.github.io– 終了条件: TextMentionTermination で批評エージェントが「承認」等のキーワードを発したら終了microsoft.github.iomicrosoft.github.io– 挙動: 提案役が案を出し、批評役がフィードバック。改善が必要なら提案役が修正し再提案…を繰り返すmicrosoft.github.io。納得できれば批評役が「APPROVE」発言して終了microsoft.github.io。 – 用途例: 新製品アイデア創出→レビュー、自動文章生成→校正など。 |
| 専門エージェント協調 (マルチロールによるプランニング/設計) | – エージェント: 複数のAssistantAgentを役割別に配置(例: プランナー, 技術顧問, ユーザー視点レビュア, 統合役 等)– チーム: RoundRobinGroupChat(全員で共有コンテキストを維持)microsoft.github.iomicrosoft.github.io– 終了条件: 最終統合役エージェントが「完了」メッセージを出す、または TextMentionTermination("TERMINATE")などキーワードで終了microsoft.github.iomicrosoft.github.io– 挙動: 各エージェントが順番に専門知識を提供し合い、最後に統合役が成果物を取りまとめるmicrosoft.github.io。全員が対話履歴を共有することで一貫したアウトプットに。 – 用途例: プロダクトデザイン(機能案、UX提案、マーケット観点、統合プレゼンの協働)、旅行プランニング(プランナー・現地情報・まとめ役)microsoft.github.iomicrosoft.github.ioなど。 |
| 手順の決まったワークフロー (逐次・条件付きタスク実行) | – エージェント: タスク工程に対応する複数エージェント(順次または並行実行) – チーム: GraphFlow(有向グラフで実行フローを定義)microsoft.github.io– フロー定義: DiGraphBuilderでノード(エージェント)とエッジ(実行順序・分岐条件)を構築microsoft.github.iomicrosoft.github.io– 挙動: 決められた順序・条件に従ってエージェントが対話または処理を行う。例:A→B→Cと順番に実行、Xの結果次第でYかZに分岐、ループして条件満たせば終了などmicrosoft.github.iomicrosoft.github.io。 – 用途例: リサーチ→分析→レポート作成(段階的に情報収集し報告)microsoft.github.iomicrosoft.github.io、ソフトウェア仕様書作成ワークフロー(要件→設計→レビュー→改訂の順序制御)など。 |
| 人間のフィードバックを含む対話 (Human-in-the-Loop) | – エージェント: AssistantAgentに加え、必要に応じUserProxyAgentをチームに含めるmicrosoft.github.io。– チーム: RoundRobinGroupChat や SelectorGroupChat 内でUserProxyAgentを配置(呼び出しタイミングは順番またはセレクター設定による)microsoft.github.io。– 挙動: チーム実行中にユーザー入力が必要になると、その時点でUserProxyAgentが実行されユーザーからの回答を待つmicrosoft.github.io。回答取得後、対話再開。 – 注意: ユーザー入力待ちの間はチーム進行が停止するため、即応が求められる確認や選択肢提示に留めるmicrosoft.github.io。 – 用途例: デザインレビューの最終承認をユーザーに委ねる、チャットボットが回答候補を提示しユーザーに選ばせる場面など。 |
| コード生成と自動テスト (AIによるコーディング支援) | – エージェント: AssistantAgent(コード提案担当)+ CodeExecutorAgent(コード実行検証担当)microsoft.github.io。– チーム: RoundRobinGroupChat 等で2エージェントを協調。AssistantAgentがコードを書き、CodeExecutorAgentが実行結果やエラーログを返すループ。– ツール: またはCodeExecutorAgentを使わず、AssistantAgentにコード実行用の関数ツール(例えば exec(code)を安全に実行するツール)を与えてもよい。– 挙動: AIがコードを書き、実行結果によってAI自らバグ修正や改良を試みる。最終的にテストを全て通過したら終了。 – 用途例: 自動コード補完・単体テスト生成、バグ修正の自律エージェントペアなど(開発者の手間を削減)。 |
上記のように、ユースケースごとに適切なエージェントの組み合わせとチームパターンを選択することで、AutoGen AgentChatの機能を最大限に活用できます。例えば簡易なQAなら単一エージェント+ツールで十分ですが、創造的な案のブラッシュアップには二人のAIエージェントの対話が有効です。さらに複数の観点を統合するにはマルチエージェントのラウンドロビン協調、明確な手順があるならGraphFlowによるワークフロー、自律性と人間の判断を組み合わせるならUserProxyAgentの活用、といった具合に柔軟に設計できます。
最後に、AgentChatは拡張性も備えています。要件に応じて新しいツールを実装してエージェントに与えたり、microsoft.github.ioに示されるような追加のプリセットエージェント(コード実行やウェブ検索、ファイル閲覧など)を組み込むことも可能です。中級者の皆さんは本ガイドを基に、ぜひ自身のプロジェクトでマルチエージェントAIの協調動作を試してみてください。AutoGen AgentChatはその柔軟なフレームワークによって、創造的でパワフルなAIエージェント同士のコラボレーションを実現してくれることでしょう。


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