- cc-sdd::国産仕様駆動コード生成ツール(要件→設計→タスク→実装のフロー)
- Claude Code、Codex CLI、Cursor IDE、Gemini CLI(無料)、VSCode+githubcopilot
導入(cc-sddとは何か)
近年、AIを活用したプログラミング(AI駆動開発)が当たり前になりつつありますが、「AIに任せすぎて何を作っているのか見失う」「要件が曖昧なまま実装に入って後から大きな手戻りが発生する」といった課題も指摘されていますqiita.com。仕様駆動開発(Spec-Driven Development, SDD)は、こうした課題への解決策として注目される開発手法です。具体的には、コードを書く前に仕様書を作成し、**「要件定義 → 設計 → タスク分解 → 実装」**という順序でプロジェクトを進めますqiita.com。各フェーズごとに人間が内容を確認・承認し、次のステップへ進むことで、AIが独断で暴走するのを防ぎ、プロジェクトの方向性をしっかり管理できますqiita.com。この段階的な承認プロセスにより、完成物の品質向上や、「思っていたものと違う…」というミスマッチの減少が期待できますqiita.com。
この仕様駆動開発の代表例としてAWSの Kiro が知られていますが、Kiroは利用にウェイトリスト登録が必要でモデルも限定的でしたqiita.com。そこで登場したのが、国産の仕様駆動コード生成支援ツール 「cc-sdd」 ですgigazine.net。cc-sddはKiroとほぼ同じ開発ロジック(要件→設計→タスク→実装のフロー)を実現しつつ、日本語で手軽に使えるよう設計されていますqiita.com。ドキュメントやコマンドがすべて日本語対応であり、npm経由の1コマンド導入で今すぐ使い始めることができますqiita.com。既存プロジェクトにも「ステアリング(舵取り)」機能を使ってスムーズに導入可能で、仕様書はプロジェクト内にMarkdownファイルとして残るため後からの振り返りも容易ですqiita.comqiita.com。さらに、cc-sddは特定のAIモデルに依存せず、さまざまなAIコーディング支援ツール(後述)と連携できる柔軟性も備えていますgigazine.net。
本記事では、2025年12月時点で公式サポートされている Codex CLI、Cursor IDE、Gemini CLI、Claude Code(有料のため割愛) との連携方法を中心に、cc-sddのインストール手順から具体的な開発ワークフローまで詳しく解説します。個人開発者の方がすぐに実践できるよう、各ステップでのコマンド例やポイントも交えて紹介していきます。
現時点(2025年12月)の公式対応ツール紹介
cc-sddは複数のAIコーディング支援環境に対応しています。2025年12月現在、公式に動作確認されている主なツールは以下のとおりですgigazine.net:
- Claude Code(Anthropic):ー
- Codex CLI(OpenAI):OpenAI社の提供するコマンドライン型AIコーディングエージェントです。ターミナル上で対話しながらコード生成・編集を行えるCLIツールで、ChatGPT(GPT-4など)をバックエンドに利用しますdevelopers.openai.com。
- Cursor IDE(Cursor):プログラマー向けのAIファーストなコードエディタです。エディタ内でAIチャットと対話しながらコードの補完・修正・生成が行えますqiita.comqiita.com。VS Codeに似たUIで、プロジェクト全体の文脈を把握した高度な支援が特徴です。
- Gemini CLI(Google):Googleの次世代AIモデル「Gemini」に対応したオープンソースのCLI型コーディングエージェントです。ターミナル上で対話するだけでコード生成やテスト、自動修正などを行えるツールで、Googleアカウントでログインすることで無料で利用できますcloud-ace.jpapidog.com。(※Gemini Code Assistがバックエンドとして動作)
この他にも、GitHub Copilot(VS Code拡張:別ブログ)、Qwen Code(Alibaba Cloud提供のコード生成モデル)、Windsurf(AI統合開発環境)などでもcc-sddは利用可能ですgigazine.net。ただし、本記事では主要なCodex CLI・Cursor・Gemini CLIの3つに焦点を当てて解説します。
インストール手順と初期設定
cc-sddの導入は非常に簡単です。Node.jsの環境があれば、プロジェクトのルートディレクトリで npxコマンド を実行するだけで必要な設定が行われますkurutto115.hatenablog.com。以下に、利用するAIツール別のインストールコマンド例を示します(言語は日本語指定)github.comgithub.com:
# Codex CLI 用(日本語設定)
npx cc-sdd@latest --codex --lang ja
# Cursor IDE 用
npx cc-sdd@latest --cursor --lang ja
# Gemini CLI 用
npx cc-sdd@latest --gemini --lang ja
上記のように--codexや--cursor等のオプションでコーディングエージェントを指定し、--lang jaで日本語モードを指定できますgithub.comgithub.com。コマンドを実行すると、プロジェクトフォルダ内にcc-sdd用の設定ファイル群が自動生成されます。例えば、Cursor用にインストールした場合、.cursorディレクトリやCURSOR.mdといったファイルが作成され、Cursor上で動作するカスタムスラッシュコマンドが登録されますkurutto115.hatenablog.com。同様にGemini CLI用では.geminiディレクトリと設定ファイル、Codex CLI用では.codex(名称は環境による)ディレクトリとファイルが生成され、それぞれの環境に応じたプロンプトテンプレートが設置されますkurutto115.hatenablog.com。これらの設定により、各AIツール内で/kiro-...で始まるcc-sdd専用コマンドが使えるようになりますkurutto115.hatenablog.comkurutto115.hatenablog.com。
※注意: 上記コマンドを実行する前に、各コーディングエージェント自体(Codex CLIやCursor、Gemini CLI)が利用可能な状態になっている必要があります。例えばOpenAIのCodex CLIであれば事前にnpm経由で@openai/codexパッケージをグローバルインストールしAPIキーを設定する、Cursorであればアプリをインストールしてプロジェクトを開いておく、といった準備を済ませてくださいnote.comqiita.com。
初期設定が完了したら、cc-sddを使った仕様駆動開発を始める準備は完了です。既存プロジェクトに導入した場合は、まず**ステアリング(舵取り)**コマンドでプロジェクトの現状をAIに把握させると良いでしょうgigazine.net。チャット入力で次のように実行すると、現在のコードベースや依存関係を分析してドキュメント化してくれます。
/kiro-steering
このコマンドにより、プロジェクト内の技術スタックや構造、既存のライブラリ情報などが収集され、内部的に.kiroディレクトリ(または各エージェント用ディレクトリ)にまとめられますgigazine.net。ステアリングは既存コードにcc-sddを導入する際に有用なステップで、AIがプロジェクトの文脈を理解した上で以降の要件定義に臨めるため、より正確な仕様策定が期待できます。
ワークフロー解説:「仕様→設計→タスク→実装」の流れ
それでは、cc-sddを用いた具体的な開発フローを見ていきましょう。ここでは一例として、「クリップボード上の画像をリサイズして保存するツール」を作成するケースを想定しますgigazine.net。cc-sddでは、以下のような順序でAIと協調しながら開発を進めますqiita.com(各ステップで適宜人間が内容を確認・修正し、承認して次に進みます)。
- 要件定義(仕様策定): まず何を作るかを明確にします。cc-sddではプロンプトコマンド
/kiro-spec-initでプロジェクトの概要を登録し、次に/kiro-spec-requirements <プロジェクト名>を実行するとAIが要件定義書(requirements.md)を生成しますgigazine.netgigazine.net。/kiro-spec-init クリップボード画像リサイズツール /kiro-spec-requirements clipboard-image-resizer実行後、プロジェクトフォルダ内に**.kiro/ディレクトリ**(または各エージェント用の設定フォルダ)が作成され、その中に新規プロジェクト用フォルダ(例:clipboard-image-resizer)とrequirements.mdファイルが生成されますgigazine.net。要件定義書にはプロジェクト説明と要求事項のリストがMarkdown形式で記述されますgigazine.net。例えば、AIが生成した要件には次のような項目が含まれます(抜粋)gigazine.net:## Requirements - クリップボードから画像を取得できること - 取得した画像を指定したサイズにリサイズできること - リサイズ後の画像を任意の場所に保存できること - 複数の画像形式(PNG, JPEG)に対応すること要件定義書が提案されたら、開発者はその内容を確認し、不明瞭な点や不足があれば追記・修正します(Markdownファイルを直接編集して構いません)。納得できる内容になったら、AIに対して「要求仕様を承認します」と伝えます。例えばチャットにrequirements.mdを承認します。と入力することで、そのフェーズの合意をAIに認識させますgigazine.net。 - 設計: 要件が固まったら、次は「どう作るか」を計画します。コマンド
/kiro-spec-design <プロジェクト名>を実行すると、AIが設計書(design.md)を生成しますgigazine.net。設計書にはシステム全体のアーキテクチャやコンポーネント構成、フローチャート図などが含まれます。例えば、本例では処理フローを示すMermaid記法のシーケンス図やUI構成図が出力されましたgigazine.netkurutto115.hatenablog.com。エディタによってはMermaid記法をプレビュー表示できるため、図を視覚的に確認することも可能ですgigazine.net。 要件定義と同様に、生成された設計内容をチェックし、必要に応じて編集・修正します。問題がなければ「design.mdを承認します」とAIに伝えて次へ進みますgigazine.netgigazine.net。 - タスク分解(実装計画): 設計が確定すると、続いて実装タスクの洗い出しです。
/kiro-spec-tasks <プロジェクト名>を実行すると、AIが設計内容に基づいて詳細なタスクリスト(tasks.md)を生成しますgigazine.net。このタスクリストはMarkdownのチェックリスト形式で、優先度順に具体的な実装タスクが並んでいますgigazine.net。各タスク項目には、そのタスクで満たすべき要件番号(Requirements: X)も自動で紐付けられているため、どの要件に対応する作業か一目で分かるようになっていますgigazine.netgigazine.net。 例えば生成されたタスクリストの一部は次のようになりますgigazine.netgigazine.net:- [ ] 1. プロジェクト基盤の準備 - Python 3.13 仮想環境を用意し、`requirements.txt`を作成 - 開発用 README と実行手順を追加 - _Requirements: all_ - [ ] 2. クリップボード取得コンポーネント実装 (ClipboardHandler) - `pywin32` を用いて Windowsクリップボードから画像取得機能を実装 - エラーハンドリングと明示的エラーを定義 - ユニットテスト(モックしたクリップボード入力に対する検証)を作成 - _Requirements: 1_ - [ ] 3. 画像処理コンポーネント実装 (ImageProcessor) - Pillow を用いたリサイズ処理を実装(高品質な補間方法を使用) - PNG/JPEG の両形式で画像を生成し、バイナリサイズを比較して小さい方を採用 - リサイズ後の画質・寸法検証用の単体テストを作成 - _Requirements: 2, 4, 5_このように、タスクリストには開発すべき機能が細かく整理されます。開発者はこれをレビューし、漏れや過剰なタスクがないか確認します。問題なければ「tasks.mdを承認します」と伝えて実装フェーズに移行します(タスク内容に変更を加えた場合も、再度承認コマンドを送ります)。 - 実装: いよいよコードを書いていく段階です。cc-sddでは、一つ一つのタスクを対話的に進める方法と、まとめて自動実装させる方法が選べます。個別に進める場合は、
/kiro-spec-implement <プロジェクト名> <タスク番号>コマンドで特定のタスクを実装させますgigazine.net。例えばタスクリストの1番から順に進めたい場合、以下のように入力します。/kiro-spec-implement clipboard-image-resizer 1指定したタスクについて、AIが該当するコードを生成し、プロジェクト内の適切なファイルに反映します。Codex CLIやCursorの場合、AIが自動的にエディタ内のファイルを編集・作成していくため、人間は提案内容を確認しながら適用するだけでOKですqiita.comqiita.com。タスクが完了すると、tasks.md内の該当タスクにチェックマーク([x])が入ります(これはAIまたはツール側が自動で更新しますgigazine.net)。続けて次のタスクを実行することで、一つずつ着実に開発を進められます。 すべてのタスクを一括で実装したい場合はタスク番号を省略して/kiro-spec-implement <プロジェクト名>とだけ実行しますgigazine.net。この場合、AIがタスクリストの順番に従って連続的にコードを生成します。ただし、一括実行では大量のコード生成が行われるため、途中でモデルのコンテキスト上限に達したり、思わぬ不整合が生じる可能性もあります。初めのうちは個別実行で様子を見ながら進めることをおすすめします。 実装中は、AIエージェントが進行状況を学習するため、後半のタスクはより簡潔な指示でも自律的に進めてくれる場合がありますgigazine.net。とはいえ、常にAI任せにせず、人間が逐一コード内容をレビューし、必要に応じて修正指示や追加説明を与えることが重要です。実装が完了したら、最後に「すべてのタスクが完了しました」と伝えて締めくくりますgigazine.net。 - 動作確認と調整: 全タスクの実装が終わった時点で、アプリケーションのビルド・実行を行い、要件を満たしているか確認します。cc-sddには
/kiro-spec-status <プロジェクト名>コマンドがあり、現在のタスク完了状況を一覧表示できますgigazine.netgigazine.net。最終的にすべてのタスクにチェックが入っていることを確認できれば、開発サイクルは完了ですgigazine.net。もし要件漏れや不具合が見つかった場合は、再度仕様書を修正し、同様のプロセスを繰り返して改良します。
以上がcc-sddによる仕様駆動開発の基本的な流れです。ポイントは、各フェーズで人間が必ず内容をレビュー・承認することで、AIの暴走を防ぎつつ確実に前進できることですqiita.com。要件定義から実装まで一貫してMarkdownのドキュメントが残るため、開発過程の記録としても価値がありますqiita.com。初めは多少手間に感じるかもしれませんが、この手順に沿って進めることで結果的に**「最短で正解にたどり着く」**開発体験が得られるでしょう。
「cc-sdd + Codex CLI」互換性チェックリスト(2025年12月時点)
OpenAIのCodex CLI環境でcc-sddを利用する際の主要な機能対応状況を、以下のチェックリストにまとめます。cc-sdd v2.0系ではCodex CLIへの公式サポートが追加されており、基本的な仕様駆動開発フローはすべてCodex CLI上で問題なく動作しますgigazine.netgigazine.net。以前はCodex CLIがカスタムコマンド引数を受け取れない制約がありましたがqiita.com、現在は改善されており通常の使用が可能です。
| チェック項目 | 内容・補足 | Codex CLI対応状況 |
|---|---|---|
| インストール方法 | npx cc-sdd@latest --codex --lang ja で導入github.com | ◎(対応済み) |
| 日本語UI・プロンプト | --lang ja指定で日本語テンプレート適用github.com | ◎(対応済み) |
| ステアリング機能 | /kiro-steering コマンドで既存プロジェクト文脈を解析gigazine.net | ◎(動作確認済) |
| 要件定義ドキュメント生成 | /kiro-spec-init → /kiro-spec-requirements でrequirements.md生成gigazine.net | ◎(動作確認済) |
| 設計ドキュメント生成 | /kiro-spec-design でdesign.md生成(Mermaid図含む)gigazine.net | ◎(動作確認済) |
| タスク一覧生成 | /kiro-spec-tasks でtasks.md生成(チェックリスト形式)gigazine.net | ◎(動作確認済) |
| 個別タスクの実装 | /kiro-spec-implement <名> <番号> で該当タスクを実装gigazine.net | ◎(動作確認済) |
| 全タスク一括実装 | /kiro-spec-implement <名> で全タスク実装実行gigazine.net | ◎(動作確認済) |
| タスク進捗状況の確認 | /kiro-spec-status でtasks完了状況を表示gigazine.net | ◎(動作確認済) |
| Mermaid記法のプレビュー | Codex CLI上ではテキストとして表示(外部ツールで閲覧可能) | ○(一部注意) |
| OpenAI APIキー・料金 | 要APIキー(GPT-4等使用)。実行内容に応じトークン消費(コスト注意) | ○(要準備) |
凡例: ◎=完全対応、○=対応(要注意点あり)
上記のとおり、Codex CLIでもcc-sddの全コマンドが問題なく利用できます。とくに仕様書生成やタスク分解といった機能はClaudeなど他のエージェントと同様に動作し、生成物(requirements.md等)の内容も同等の品質が得られています。qiita.comで述べられている以前の制約(Codex CLIで引数付きコマンドが使えない件)は、cc-sdd v2.0のリリースにより解消されました。現在はプロジェクト名を含むコマンドもそのまま利用可能です。
ただし、Codex CLIはChatGPT APIを利用する関係上、OpenAIのAPIキーやChatGPT Plusアカウントが必要ですnote.com。またGPT-4モデルを用いる場合、長時間の対話ではトークン消費量が大きくなるためコストにも注意しましょう(開発中は定期的に内容を要約しコンテキストをリセットするなど工夫が必要な場合があります)。Mermaid記法のフローチャートについては、Codex CLI自体にはグラフィカルな表示機能がないためテキストのまま出力されます。必要に応じてMermaid対応エディタやオンラインエディタに貼り付けて図を確認すると良いでしょう。
メリットと課題
cc-sddを活用するメリット:
- 要件ブレの防止とコード品質向上: 仕様書にもとづき開発を進めるため、プロジェクトのゴールが明確になります。各フェーズで人間が承認する仕組みにより、AIと人間の双方が迷わずに開発でき、結果として「思っていたものと違う」産物ができてしまうリスクを大幅に減らせますqiita.com。段階的に検証しながら進めることで不具合の早期発見・修正も容易になり、コードの品質向上につながりますqiita.com。
- ドキュメント資産の蓄積: 要件定義から実装までの過程で作成されるMarkdownドキュメント(仕様書類やタスクリスト)は、そのままプロジェクトの貴重なドキュメントになります。後から「なぜこの実装になったか」を振り返る際にも、当時の判断根拠が残っているのは大きな利点ですqiita.com。新規メンバーへの引き継ぎや、類似プロジェクトの参考資料としても活用できます。
- 日本語環境での快適さ: 国産ツールであるcc-sddは日本語で違和感なく利用できるよう配慮されていますqiita.com。エラーメッセージや生成される文章も自然な日本語表現で出力されるため、言語の壁を感じずに開発に集中できますqiita.com。国内コミュニティも活発化しており(Zenn記事や書籍の出版など)情報も入手しやすくなっていますqiita.com。
- 複数エージェント対応: cc-sdd一つで複数のAIコーディング支援ツールを横断的に利用できるのも強みですgigazine.net。たとえば、開発途中でCursor(無料枠)からGemini CLIに切り替える、といった場合でも、それぞれに合わせたcc-sdd設定を追加インストールすることでシームレスに移行できますkurutto115.hatenablog.com。特定プラットフォームにロックインされず、用途やコストに応じて柔軟にツールを選択できる点は個人開発者にも嬉しいポイントでしょう。
cc-sdd導入における課題・注意点:
- 初期準備と学習コスト: 仕様書を書く手間や、新しいコマンドセットに慣れる必要がある点はハードルになりえます。従来の「とりあえず実装してみる(いわゆるバイブスコーディング)」に比べると、最初に要件定義・設計を書き下す分だけ時間がかかるように感じるかもしれません。しかしこの投資は後工程の手戻り削減で回収できるケースが多いですqiita.com。最初は小さな機能から試し、ワークフローに慣れることで学習コストは徐々に低減します。
- 仕様の質に依存: AIが正しく動くかどうかは、与える仕様の質に大きく左右されます。もし要件定義が曖昧だったり抜け漏れがあったりすると、その先の設計やタスク分解にも影響が及び、結局後から大幅な手直しが必要になる可能性があります。cc-sdd導入後も、人間側で**「本当にこの要件で目標を満たせるか?」**を常に考えながら内容を精査する姿勢が重要です。AIが生成した仕様書だからといって盲信せず、レビューと修正を怠らないようにしましょう。
- AIモデルによるばらつき: 利用するAIエージェントの種類やモデル性能によって、生成されるコードやドキュメントの質に違いが出る場合があります。例えばGPT-4ベースのCodex CLIは非常に高度な回答をしますがその分コストが高く、逆に無料で使えるGemini CLIはスピーディですが一部応答の一貫性で劣る場面があるかもしれません(モデルのアップデートにより日々改善しています)。どのエージェントでも基本フローは同じですが、モデル特性に応じた調整(例えばプロンプトを詳細にする、出力を細かくチェックする等)は必要に応じて行ってください。
- 仕様と実装の乖離リスク: 仕様駆動開発を取り入れても人間側の確認を怠れば、依然として「仕様書上はOKだが実際の挙動が期待と違う」という乖離は起こりえます。特にAIが生成したコードが動かない場合や、テストケースで漏れがあった場合、仕様書を更新せずに直接コードを直してしまうとドキュメントと実装に差異が生まれてしまいます。常に仕様書を単一の信頼ソースとして保つよう心がけ、実装と異なる点が生じたら都度仕様書側もアップデートする運用が望ましいです。
- コストと利用制限: AIモデルの利用コストも実務上無視できません。例えばOpenAI APIを使う場合はトークン課金が発生し、大規模なプロジェクトではコストが嵩む可能性があります。また、Codex CLIやGemini CLIは無料プランで一定の制限(利用回数や時間制限など)がある場合もありますkurutto115.hatenablog.com。開発を進める中で上限に達した場合は、別のモデルにスイッチするか、有料プランを検討する必要が出てくるでしょう。コスト管理も含めたプロジェクト計画を立てることが求められます。
他手法との比較(Vibe Codingなど)
cc-sddおよび仕様駆動開発というアプローチを、他の開発スタイルやツールと比較してみます。
- Vibe Coding(バイブスコーディング)との比較: いわゆる「ノリと勢いでAIにコードを書かせる」スタイルの開発は、着手が手軽で一見スピードも速いですが、要件が定まらないまま進めると完成物がブレやすく、後戻りが多発しがちですqiita.com。特にAIが賢くなった昨今、「とりあえず作って」と指示するとAIが勝手に判断して実装を進めてしまい、出来上がってから「思っていたものと違う」という事態になりがちですqiita.com。これでは時間とリソースの無駄になるばかりか、作り直しによるモチベーション低下にも繋がりますqiita.com。一方、仕様駆動開発では最初にゴールと道筋を明確化してから実装するため、このような迷走を避けられますqiita.com。言わば、料理を作る前にレシピを決めるようなものqiita.comで、いきなり食材を切り始める(コーディングを始める)のではなく、何をどう作るか計画してから調理(実装)に取り掛かるイメージです。その結果、再現性が高く安定した開発プロセスを実現できる点が大きな違いですb.hatena.ne.jp。
- その他の手法やツール: 他にもSpec KitやOpenSpec、あるいはAnthropic社が提唱するModel Context Protocol (MCP)など、AI開発フローを支援するツール・枠組みが登場していますkurutto115.hatenablog.com。Spec Kitはコマンド一発で仕様駆動の雛形を生成できる手軽さが魅力で、逆にMCPは設定が煩雑なもののエージェントの違いに影響されにくい柔軟性があると言われますkurutto115.hatenablog.com。こうしたツールはいずれも「AIに何をさせたいのか」を明示し、開発プロセスを構造化するという点で共通しており、いわばアプローチが多少異なる兄弟ツールと言えます。cc-sddはその中でも日本語開発者に寄り添った使いやすさとKiro互換の王道プロセスで頭一つ抜けた存在となっていますが、プロジェクトの規模や目的に応じて最適なツールを選択することが肝要です。
まとめと今後の展望
cc-sddを使うことで、個人開発でも本格的な仕様駆動開発プロセスを実現できることがお分かりいただけたと思います。国産ツールならではの日本語ドキュメント整備や手厚いコミュニティ支援もあり、初めての方でも比較的スムーズに導入できるでしょうqiita.com。AWS Kiroを待たずとも、**「要件定義から実装までAIと二人三脚で進める」**という新しい開発体験をすぐに味わえる点は大きな魅力ですqiita.com。実際に試してみると、AIアシスタントに振り回されることなくプロジェクトが進んでいく感覚に驚くはずです。
今後の展望として、仕様駆動開発ツールはさらに進化し、チーム開発や大規模プロジェクトへの適用も広がっていくと考えられます。cc-sdd自体もオープンソースで活発に開発が続けられており、新機能の追加や既存モデルへの対応強化(例えば新しいLLMへの対応やサブエージェント機能の拡充など)が期待できます。将来的には、プロジェクト管理ツールやCI/CDパイプラインと連携して、要件の変更が自動でコードに反映されるようなエコシステムも登場するかもしれませんgithub.comgithub.com。AI時代における開発フローの一つの完成形として、仕様駆動開発はこれからますます存在感を増していくでしょう。
最後に、cc-sddを使い始めるための簡易チェックリストを用意しました。興味を持たれた方は、ぜひ以下の項目を確認しながら実際にcc-sddをプロジェクトに導入してみてください。
- Node.js環境の準備:
npxコマンドが使えるNode.jsがインストールされています - AIコーディングツールの用意: Codex CLIやCursor、Gemini CLIなど目的のエージェントをインストールし、必要ならAPIキーやログイン認証を済ませています
- プロジェクトの選定: 新規または既存のプロジェクトディレクトリを用意し、Git管理など初期設定を完了しています(既存プロジェクトの場合、主要なREADMEや依存ライブラリが揃っているとベター)
- cc-sddのインストール: 該当ディレクトリで
npx cc-sdd@latest --<agent> --lang jaを実行し、cc-sddの設定ファイル(.kiroフォルダ等)が生成されたことを確認しますkurutto115.hatenablog.comkurutto115.hatenablog.com - ステアリングの実行: 必要に応じて
/kiro-steeringを実行し、プロジェクト構成の分析結果が出力されることを確認しますgigazine.net - 仕様策定の開始:
/kiro-spec-initでプロジェクト概要を設定し、続いて/kiro-spec-requirementsを実行して要件定義書が作成されることを確認しますgigazine.netgigazine.net - 各フェーズの承認: 要件定義→設計→タスク分解→実装の各段階で、生成された内容をレビューし承認のプロンプトを送ります(例:「~.mdを承認します。」)
- コードの生成・適用:
/kiro-spec-implementコマンドでAIがコードを書き、エディタ上に反映されることを確認します。逐次または一括でタスクを実行し、完了チェックが付くことを確認しますgigazine.netgigazine.net - 動作確認とドキュメント更新: 生成されたコードをビルド/テストして期待通り動くか検証します。不具合があれば仕様書やコードを修正し、必要なら再度AIにタスクを依頼します。すべてのタスク完了後、
/kiro-spec-statusでタスクリストが全て完了状態になっていることを確認しますgigazine.net
以上で準備完了です。最初は小規模なプロジェクトから始めて、この強力なワークフローを体験してみてください。きっと「AIと協調してソフトウェアを作り上げる」楽しさと安心感を味わえるはずです。cc-sddがあなたの開発生産性向上に大きく寄与することを願っています。
今後もアップデート情報や事例が公開され次第、フォローアップしていきます。それでは、ぜひcc-sddを活用した仕様駆動開発を始めてみてください。あなたのアイデアをAIと共創する新しい開発スタイルが、きっと次のプロジェクトを成功へと導いてくれるでしょう!


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